婚約の歴史と指輪史

今回のテーマは“婚約の歴史”です。そもそもなぜ婚約指輪をはめるのか、その由来はどこから来ているのかを探索してみると、古代ローマという気が遠くなるような大昔まで行き着きます。婚約の概念は人類の始まりと同時に誕生したと言っても過言ではありません。さらに指輪の歴史とも重なります。今でこそ気軽におしゃれ感覚でカジュアルリングを誰でも身につけますが。神話の時代には男性が女性と一族に対して運命共同体となる決意を表すのが指輪であり、素材は鉄製でした。

ただし古代エジプトでは愛の証という概念はすでに出来ていて、薬指には不滅の力が宿るという伝承に乗っ取って薬指に鉄リングをはめる習慣がありました。古代エジプトの伝承と古代ローマの風習が混合された形で、指輪概念の基礎が出来ていったのです。長い時を経てキリスト教の世の中になっても、教会での結婚式に婚約指輪が用いられる事はなくむしろ偶像礼拝の対象として敬遠されていたのです。しかし庶民の間では静かに指輪交換の風習が定着しつつありました。12世紀に入り教会もついに指輪の導入を認めざるを得なくなったゆえに、時の教皇により正式に婚約指輪が結婚の義での重要アイテムとする宣言がされました。教皇の権威は当時の社会では絶対的ですからこの宣言は瞬く間にヨーロッパ諸国全土に影響を与える事となりました。

指輪交換を伴う婚約を含む結婚の形式が日本に伝わったのは意外と早くて江戸時代中期にはすでに一部で知られていた事が古文書から明らかにはなっていますが、正式に社会で一般化されるようになったのは明治以降です。結婚業者と指輪メーカーが結託する形で婚約指輪の普及に大いに貢献しました。